息をかぞえて

禅・こころとからだ

息をかぞえて

あれもちがう。これもちがう。

なにが正しいかわからなくなって、

ずいぶんたつ。

たしかなものがなくなった。

なんとなくいつも不安だ。

じっとしていられない。

 

ふらふらあるく。

ひまをつぶす。

にげこむように、ねむりにつく。

 

すぅすぅときこえてくる。

ぼんやりとあかるくなる。

すって、はいて、すっている。

さっきまで、

とけてういていたような気もする。

ふうっ、とはく。よだれをぬぐう。

 

すってはく。

ずっと前からくりかえしている。

さいしょにすったのはいつだろう?

 

目やにをこすり、いつものようにすわる。

ひとーつ。

ふたーつ。

すってはいて、息をかぞえる。

みっつ。

よっつ。

チッチチ、チュッチュ。

カー!カー!

クワア!

まわりが白くひろがりはじめる。

名前をつけるなら「朝」。

 

やーっつ。ここの、つ。

十までいったら、一からはじまる。

はじめとおわりがつながっていく。

だんだんしずかになっていく。

つぎめがきえて、わっかになる。

じっとしている。

じっとしている。

 

すって、はく、すってはく。

ここからはなれたことはない。

今日もふらふらあるくだろう。

だけどいつでも、ここにいる。

 

すっている。はいている。

とまることなく、つづいてる。

みんなしってる、たしかなことだ。

ここからはじめようと、わたしはおもう。